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「ずっと代わり映えしない宇宙空間を進んでいるんですもん」
「船長と同じ台詞くらい出てくるときもありますって」
少女達の言葉に『だろ?』と同意するように頷いていた男だったが、最後の少女の言葉は聞き逃せなかったようで、ズビシ! という音が聞こえてきそうなほどの勢いで指を差す。
「俺は艦長だって言ってんだろうが! そこ間違えんなよ、そこ! ちゃんとデータベースにもそう記載されているだろ!」
「失礼しましたぁ、かんちょー」
「でも、艦長ってなんか艦長って感じしないんですもん!」
「そうそう! 輸送船の船長がしっくりくる感じっていうの?」
キャッキャと全く悪びれた様子のない三人に対し男は怒りを滲ませる。
「お・ま・え・ら~――……」
言い争う男と三人を見た少女は『またか』とでもいうように自身のこめかみを押さえ、少しの間耐えていたが一向に収まる気配はなかったため、
「いい加減にしてください! ここは艦橋なんですよ! 艦長も抑えて、あなたたちも仕事に戻る!」
叫び声を上げた。
そう。ここは果てしない宇宙を進む宇宙艦の艦橋。
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