第一章 はじめましては突然に

5/86
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/170ページ
 ただ、それを表に出さないで胸の内にしまっているだけという話だ。おそらく、この『オオハヤブサ』の乗組員全員がうんざりしていると言っても過言ではないだろう。    ただし、公共の場でこんなに感情と態度を明け透けにしているのはこの(リョウ)くらいのものというだけだ。 「おーそうか? じゃあリオも付き合ってくれ。『宇宙鉄道 太陽系編』、設定は九百九十九年で」 「……嫌ですよ。その年数だと終わるのに最短でも一週間はかかるじゃないですか。大体なんで宇宙を進むことに『暇だー』って嘆いている人が、宇宙を旅するゲームを選ぶんですか。するなら一人でできるやつにしてくださいよ。RPG(ロールプレイングゲーム)とか。新しいのからレトロ――化石みたいなものまであったはずですが?」 「ストーリーのあるやつはどれもやりこみ要素含めてとっくに終わってるよ。残っているのは宇宙鉄道みたいなボードゲームとか対戦ものだけだ。一人寂しくプログラムが操るAI戦やNPC(ノンプレイヤーキャラクター)戦をしろと? それじゃ寂しすぎんだろー」 「どれだけプレイしているんですか……RPGだけに絞っても軽く万は超えているはずですよね?」 「知らないね。やる時間があったからやっていたらこうなった」       
/170ページ

最初のコメントを投稿しよう!