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細かい経緯は省くが現在の地球は人口過多――超過密と呼ぶのが正しいほどの状況だ。ラグランジュポイントと呼ばれる地球と月の引力が均衡になる地点には多数のスペースコロニーが浮かんでおり、火星や月にはドーム型の居住地が作られている。
『このままでは太陽の光がスペースコロニーに遮られて地上に届かなくなってしまう』などという説まで飛び出すくらいだ(あり得ない話なのだが、それくらいの勢いでスペースコロニーが建造されているということ)。
埋め立て地による陸地の拡張や海に浮かぶギガ・フロートもこれ以上は地球環境を考えると難しかった。
「居住地を作って住むだけなら単純……といっていいのかはわかりませんが、スペースコロニーよりも楽ですけどね。大気のコントロール方法などを考えると難しいと言わざるをえませんね」
「だから、俺たちが外宇宙に出て居住可能惑星を探せと強く命じられている訳ね……」
『あーあ、めんどくさい』という幻聴が聞こえてきそうな空白があったがそれを馬鹿正直に口に出すことはなかった。
しかしながら、そういったことは言わなくてもリオには伝わっているらしく、普段の丸くて可愛らしい目とは違い、遠くを見るかのように細い目でリョウを見つめていた。
「なんか、前も似たような話をした気がするのですけどね」
「そだっけ? 覚えてねーや」
「覚えていないのは不味いですよ。記憶領域の破損がないか検査してきてもらったらどうですか?」
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