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公園の中に一本の大きな桜が咲いていた。その桜は枝分かれして垂れ下がっていたが物凄く綺麗だった。僕は、その樹木に思わず触れて上を見上げながら桜を眺めていた。
「その桜すげぇだろ?」
背後からの声に思わず驚きながらも振り向いてしまう。そこには、同い年くらいの男の子が立っていた。
「何百年前から咲いてるんだって」
その男の子が喋りながら僕の隣に立つと先程の僕と同じように桜を見上げ始めた。
「へぇ~。凄いね」
僕は他愛もない返答で返して、再び桜を見上げる。
「あっ、俺の名前は、北林(きたばやし)。見ない顔だよな?」
見上げてる僕の方を見て、北林と名乗る男の子が唐突に自己紹介してくる。
「うん。引っ越して来たんだ。最近。……西川(にしかわ)です」
「西川!! マジか。おーーい! 西川!! 同じ名字がいるぞッ!!」
僕の名字である西川に凄い反応を示す北林。更に、北林に呼ばれたであろう女の子が駆け寄ってくる。
「同じ名字って、この子も西川?」
目と目が合う僕、西川と、目の前の女の子、西川。
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