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「うん。西川、椿(つばき)です」
僕は自己紹介をした。僕の名前は、西川椿だ。よく女の名前だとからかわれる事もあるので、余り自分の名前を教えたくないが、だいたい先生に呼ばれるか、名札でばれてしまう。
「へぇ~。椿君か。カッコイイ名前だね。わたし、楓(かえで)。西川楓」
しかし、目の前の西川楓は、僕の名前をカッコイイと言った。これは僕の中では予想外だった。
「よっ、よろしく」
こう切り返すのが精一杯だった僕。
「同じ西川だし、楓でいいよ。わたしも椿君って呼ぶから」
「じゃぁ、俺も柾(まさき)でいいぜ。北林柾。改めて」
西川楓の提案から便乗する北林。その北林柾から握手を求められる。
「うん。よろしく」
その握手に応じる僕。北林は僕より手が大きいようだ。
「ところで、椿君って何者?」
「あぁ。引っ越して来たんだってさ」
そう言えば、楓さんには説明していないが柾君が説明してくれる。
「へぇ~。何年生なの?」
「今度、小五かな」
「おぉ! 同い年じゃねぇか!!」
楓さんの質問から僕の解答。そして、柾君の驚き。
「じゃ、同じクラスになるといいね!」
楓さんの言葉は喜びと希望に満ち溢れていた。
「そうだね」
その言葉に同意する僕。
「という訳で、遊ぼうぜ。なんなら、俺がこの街を案内してやるよ」
「あっ、いいね! わたしも行く。行こう、行こう!!」
柾君と楓さん、二人のペースに巻き込まれながら、公園を去るように、この街を案内されてしまう僕。
これが、西川椿と北林柾、そして、西川楓との出会いである。
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