①『出会い その①』

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「うん。西川、椿(つばき)です」 僕は自己紹介をした。僕の名前は、西川椿だ。よく女の名前だとからかわれる事もあるので、余り自分の名前を教えたくないが、だいたい先生に呼ばれるか、名札でばれてしまう。 「へぇ~。椿君か。カッコイイ名前だね。わたし、楓(かえで)。西川楓」 しかし、目の前の西川楓は、僕の名前をカッコイイと言った。これは僕の中では予想外だった。 「よっ、よろしく」 こう切り返すのが精一杯だった僕。 「同じ西川だし、楓でいいよ。わたしも椿君って呼ぶから」 「じゃぁ、俺も柾(まさき)でいいぜ。北林柾。改めて」 西川楓の提案から便乗する北林。その北林柾から握手を求められる。 「うん。よろしく」 その握手に応じる僕。北林は僕より手が大きいようだ。 「ところで、椿君って何者?」 「あぁ。引っ越して来たんだってさ」 そう言えば、楓さんには説明していないが柾君が説明してくれる。 「へぇ~。何年生なの?」 「今度、小五かな」 「おぉ! 同い年じゃねぇか!!」 楓さんの質問から僕の解答。そして、柾君の驚き。 「じゃ、同じクラスになるといいね!」 楓さんの言葉は喜びと希望に満ち溢れていた。 「そうだね」 その言葉に同意する僕。 「という訳で、遊ぼうぜ。なんなら、俺がこの街を案内してやるよ」 「あっ、いいね! わたしも行く。行こう、行こう!!」 柾君と楓さん、二人のペースに巻き込まれながら、公園を去るように、この街を案内されてしまう僕。  これが、西川椿と北林柾、そして、西川楓との出会いである。
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