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「我々はこれでも経験豊富だからね。はじめてで戸惑うこともあるだろうけど、慎重に行動すれば大丈夫だから」
「は、はい」
それで、少しミナミは救われる。
ダイバーの仕事について、ネットでもテレビでも悪評はすさまじい。
ミナミが考察した恐怖や金に目がくらんだってのもあるが、それ以上に、死傷者数は毎回ニュースになるのが大きい。送り出すのはどれも民間の企業で(これが国家だったらもっと問題になっていたろう)ひどいとこでは労働環境が最悪で、その結果全滅というケースも少なくない。
いや、全滅しなくても死んだりしなくても、負傷して一生ものの傷を負ったという話をよく聞く。
現代は義手や義足などの医療も進んでいて――その業界の常連は、言うまでもないがダイバー達である。
(だ、大丈夫だよね。高田さんがこう言ってくれるし)
ちらっ、と彼女は日向のことも見る。
(ひ、日向さん……ヒナタさん、た、頼りないけど)
つい、比べてしまう。いや、十七歳と四十越えた大人を比べるのもどうかと思うが、命の危険性がある状況だ。しょうがないのかもしれない。
「……ふー、ふー」
思わず、何度も息を整えるミナミ。
ダイバー達はチームごとに穴に向かい、次々と入って行く。
「ふぅ、大丈夫だよミナミさん。ぼくらがついてるから、心配しないでね」
「あ、は、はい」
高田がもう一度、ミナミに声をかける。
「大丈夫だから、大丈夫だからね」
「え、はい」
何度も彼女に声をかける、
「大丈夫、大丈夫だから……」
「え、あ、その」
「………」「………」
ミナミは知らないが、このとき、ヒナタとナツミは何かを感じ取っていたようだ。いや、それも確信ではなかったのだが。
「次、十一番隊!」
「はい! はい、ぼくらです!」
高田が応える。
いよいよ、私達の番だとミナミは握り拳を強くする。
四人して穴に入った。
004
「……さて、着いたかな。それじゃ、行」「危ない」
うわっ、と遅れて声をあげる高田。
彼はヒナタに肩を押され、倒された。普段なら、何するんだヒナタと叱責するとこだが、さっきまで高田がいた場所に一筋の光が走り、後方の壁を貫いていた。
「え」
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