第1章

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 ヒナタは第六感のようなものが芽生え、すかさず横に跳んだ。  直後、天井が粉砕され、上から多くのモンスター達が落ちてくる。 「こういうことかい。そんな慌てなくても入り口から来ればいいのに」  マナーのなってない客だ。モンスター達は、天井をぶち破って現れたらしい。他にもいくつか穴があるのだろう。わんさか、と埋め尽くすようにモンスター達が現れる。その度に水ぶくれが出てくればいいが、そう簡単に来るもんでもないし。 (近くに来てからじゃ、もう爆発させられない)  舌打ちし、ヒナタは駆ける。  ビーム剣はモンスターの肉体を切断していく。ヒナタは壁や天井を蹴って、デタラメに移動した。それは漫画やアニメであるようなやり方だが、これが効果的で視野の狭いモンスターが多く、奴等はヒナタを捉えきれないでいた。その間にヒナタは敵を切断する。  そして敵を攪乱し足を止めると、一旦離れて水ぶくれを撃った。爆発は周囲のモンスターも焼け殺し、肉塊は炎に包まれて溶けて消えていった。 (直撃意外なら大丈夫。デタラメに移動しながら、どうやって水ぶくれを使うかだな)  モンスターに知能はなく、そのため、水ぶくれを使って攻略されてるのにも気づいていない。犬よりも知性が低くなっている――外見は人に似てるくせに。  ここまでの敵なら大したことはない。  敵はいくら異形な怪物とはいえ、攻撃手段は限られている。  水ぶくれが厄介ではあるが――こいつからは特に何もしない。爆発を直に喰らわなければ、問題ではない。それ以外は近接戦闘のみの個体で――いや、違うのがいた。 (ナガイ。そうだ、こいつらがいたか)  危うく、ヒナタは捕まりそうになる。  彼は他のモンスターの背に周り、盾にして長い手から逃れた。一瞬でも防いだすきに、トイガンで射殺。近くにいた者が彼を襲うが、ビーム剣が煌めいて、細切れにさせる。 (埋め尽くすほどいるのは逆にいい)  敵の中に紛れ、敵を盾にできる。敵の攻撃で敵を破壊できる。  だが、逆に数が減ってくるときつくなる。 (水ぶくれで殺しすぎたか――)  間隔がないほどだったのが、次第に空白が目立つようになり、すると、敵であるヒナタの姿も目立ちはじめた。唯一、人らしい形をしてる存在。ここでは、明らかな異物である。  ヒナタは右手のトイガンで牽制し、左手のビーム剣で必殺を放つ。
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