第1章

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 二体の手足が長いモンスターは頭を撃ち抜かれて死亡。反転、ヒナタはうしろにいたモンスター達に構える。奴等はまだモンスター同士でいがみあっていた。  彼らの視野の外にいるヒナタは、的確に二体の頭を撃ち抜いた。  細かく砕かれた脳しょうと血しぶきが、天井にも付着する。 「……はぁ、ぁっ」  倒した?  辺りを見回すと、どうやら敵は一掃したらしい。  劣りに引き付けられてないモンスターもいただろうが、ほぼ全てを日向一人が殲滅したようだ。 「はは、終わった。終わったぞ……」  あとは、めぼしいハザードを回収して、おさらばだ。時間も大分経ってるだろうし、もう心配は。 【……日向?】  と、そこで仲間からの通信が入る。  声は聞きなれたもので、あぁ、とヒナタはうなづく。なつみの声だと。 【にげ――いや、もう、にげれない】 「え?」  いつものハキハキした口調の彼女ではなかった。翼を折られ、嘴を砕かれ、足も切断された鳥類のような声を彼女は発していた。その声すらもあまりにも弱々しく、所々聞こえないとこがあった。 「なつみ、何を言って。なつみ?」  第六感が告げる。  ヒナタは廊下をつっきり、一気に壁際まで迫る。そしてふりむく。彼がいたとこは天井から巨大な何かで撃ち抜かれて、そのまま真下の地下鉄の空間まで砕かれていた。 「――は?」  撃ち抜いた何かは肌色をしていた。巨大な肌色の柱。  ああ、と日向は察する。  巨大な肌色――そんなの、モンスターでしかありえない。再度、爆ぜるような音が構内にひびく。  これまた巨大な肌色をしていて、おそらくは人型のモンスターの足だろう。  二本の足。  ある意味では、他のモンスターと比べてもっとも人間に近い形をしているタイプのモンスターだ。  ただし、それは人より数十倍も大きい。 「巨人か……」  ハザードにはレベルがある。  さっきのモンスター達も一応ハザードであり、レベルはせいぜい1がいいとこだ。  しかし、この巨人は違う。巨人と呼ばれてるハザードは違う。 「ハザードレベル2……」 【――ひなっ】  声は途切れ、通信は完全に遮断された。  第六感が告げる。ヒナタはちょっと歩いただけで、正確に敵の攻撃をよけた。
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