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彼のそばの天井が崩れ、そこから二本の卯でが蟻の巣を壊すように、侵入する。いくつものパイプやコンクリートでできた構内は砕かれ、バラバラにされ、それを邪魔だとどかし、蟻サイズであるただの人間をもてあそぶため、巨人はでかい顔でヒナタを見つめた。
みつけた。
その顔はそう語っていた。
全裸の巨人。
当たり前だ、5Lサイズだって中々ないのに、50Lサイズは必要な巨人の服なんてあるはずがない。それは、人としてはあまり体格が良さそうではない、腹は肥えて筋肉も発達しておらず、休日は横になってテレビばかり見てそうな中年男性の体だ。頭もはげかかって、驚異には見えない――高層ビルのように大きなサイズでなければ。
やつは、精密にできた蟻の巣をあばくと、蟻であるヒナタを見つめていた。見つめていたのだ。
ヒナタは、奴の眼球をトイガンで撃った。
9000000000000003903290239!
これでもないというほどの声が、こだまする。
開放された外でもそれは震撼し、辺りの建物を震わせ、窓ガラスは一斉に散らばる。ヒナタのスーツはすかさず、音量をシャットアウトし、適正な数値に変換する。武器によっては鼓膜を破壊するものもあるし、敵の雄叫びだって驚異的なのでこのような親切設計になっている。本来なら、耳をふさいで済む問題じゃない。
「巨人って、姿だけなら圧倒されるけど実は大したことないんだよな。巨大ロボットが何で現実じゃ大したことないか分かるかい? ほら、足を破壊すればさ」
日向は足にトイガンを向ける。
千年すぎた大木より大きな足は、何発撃っても倒れない。ちっ、と舌打ちし、彼は駆けだしてビーム剣で切断した。中からむきだしにされた血管、骨、そして肉の細胞が細かく識別できる。
90381083018039。
悲鳴をあげてるらしい。巨人は足を振り上げて、池袋駅構内の天井を破壊し、衝撃を日向がいる方まで飛ばす。
しかし、ヒナタはもういない。すでに、巨人があけた穴から抜け出していた。
「おい、なつみ達はどうしたんだよ。答えろよ」
巨人は、にひひひ、と痛みでとち狂った笑みを浮かべて、小さなヒナタを凝視していた。
片方はトイガンで撃たれているのに。
「……答えろよ」
それから、先のことはよく覚えていない。
006
八代日向は、目が覚める。
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