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生命保険の対象外。あまりにも危険の高い仕事で、死んだとしても遺族は文句言うなという誓約書も書かされる。それ以下のも書かされる。しかし、それでもダイバーになる者はあとを絶たない。オーバーテクノロジーを持ち帰ると、莫大な報酬が約束される。一億や十億も珍しくない仕事だから。
……あくまで、生きて帰れたらの話だが。
(s_あんたには目的があるんでしょ?)
さっちゃんはささやく。
(あぁ、そうだよ)
ちなみに、穴に存在するオーバーテクノロジー、その他もろもろは全部まとめて『ハザード』と呼ばれる。
ハザード。
ハザードには複数のタイプが存在し、モンスタータイプや装備タイプ、日向が着てるスーツもそれだ。ともかく、種類毎に分かりやすく分類されているが。
「まず、一つ目。目や髪を元にもどしたい」
日向の髪は緑に変色していた。
左目も大きめの眼帯で覆っている。
――ハザードは人も含まれる。
穴に潜ると何らかの影響を受ける。日向がもらったのもそれだ。見かけだけの問題じゃない、身体能力及び思考も以前とは大分変わってしまった。元からオタク気質ではあったが、ここまで根暗ではなかった。
ハザードは、彼らダイバーも含まれてしまう。
別にあそこから来たわけじゃないのだが、周りから見たら同類なのだろう。身体の異常な変化と、金に目がくらんでなった愚か者、その二重の真実が恐怖に引火して、ダイバー全員が嫌われている。
社会全体から。
(s_二つ目は?)
「金がほしい。平穏に暮らせるだけのお金が」
「おい、ブツブツ言ってないでさっさと」
(三つ目は?)
「それは――」
ガンっ、とドアが蹴られた。
「!?」
目を見開く日向。おいおい、今日の監視は一段と厳しいなと腰を上げたときだ。ドアを蹴った者はドアをのぼって、個室の中に入ってきた。
「な、なつみ?」
「な、なつみ? じゃねーよ、バカ!」
日焼けした女性が日向にチョップする。
Name:なつみ
age:22
sex:女
歳は若いが、日向のようなティーンエイジャーではなく、二十歳を越えている。今は十五も成人だが、それよりも大人びて見える。
彼女もうろこのようなスーツを着て、タクティカルベストを身に付けてる。ヘルメットは来る前に外したようだ。豊満な胸はベストをふくらませ、しなやかな肢体は豹のように立派である。
「おい、ここ男子トイレ」
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