2章 訪れた時

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やはり何度も通っていると面倒な部分が鼻につくのだろう。美夏が文句をぶつくさ言っている。  無機質な鉄の壁はそのままに、緑色の床、そして長い長い廊下が続いている。 「ここから先は居住区とシステム管理、モニタリング作戦ルームに分かれているの。流星くんもここに住んでるのよ」  流星という名前を聞いただけで葵の心音が跳ね上がる。恋愛というものをしたことはなかったが、まさかここまで簡単な体だとは葵には思ってもみなかった。  美夏の言葉通り道なりに進むと、少しずつ鉄製のドアが増え、人が居そうな雰囲気が増えてくる。 「ここを左に曲がると居住区よ」  言われた通り左に進むと、ジュースの自動販売機や軽いおやつが食べることのできる自販機が並んでいる。 「一応食堂もあるけど、ここでも軽い食事をとることができるの。あとここを右に曲がると娯楽室。左に曲がると図書室なんかもあるの」  美夏が中の施設を事細かに説明する。  葵としては本が好きなので少し図書室が気になったが、今は美夏の施設案内が優先なのでその気持ちを抑える。  そこから少し進むとたくさんのドアが並んでいる。ドアの横には全てカードをスライドさせるための機械が付いている。「これがあなたのカードキーよ。ここではこのカードで一切合切のものが購入できるから大切にしてね。もっともカードキーを盗む人なんてここにはいないでしょうけどね」  美夏からカードキーを受け取る。  そこには美夏の写真と名前、そして役職が書いてあった。 「月光神機オッドロスパイロット…か」  その名前を見るたびに、ものすごく不安に駆られる。できれば目を背けたくなる。 「それとあなたに紹介したい人がいるの。さぁ中に入って。ここがあなたの部屋よ」  葵は動揺しながら、カードキーを通して自分の部屋に美夏と入る。  そこには一人の褐色肌の少女がいた。  ツインテールにまとめた金髪と褐色気味の肌の色が日本人にはない独特の雰囲気を醸し出している。 「エレナ・ユーグレナです。よろしくお願いします。葵様」  外国人とは思えないほど、正しい発音だった。  独特の雰囲気をまとった少女が葵に頭をさげる。葵もエレナに吊られてなんとなく会釈をする。 「あの…美夏さんこの人一体…」  エレナの急な登場に、葵はエレナという少女の詳細を知りたかった。
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