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「この子は…あなたのメイドといえばいいかしら?あなたの従者よ。仲良くしてあげてね」
「従者…メイド?私、そんなの必要ないです。私身の回りのことは一人でできますから」
「ひょっとしたら…そのうちできなくなるかもしれないからね。だからこの子はあなたに絶対に必要な子になる」
首筋に刃物を突き立てられてるような気分だった。
「よろしくお願いします。エレナさん」
葵は必死に作り笑いを浮かべ、エレナと握手をする。
「じゃああなたはしばらく他の場所で待機してもらおうかしら。ユリア。私と葵ちゃんはまだ施設を見て回らないといけないから」
「はい」
エレナはその指示を受け、葵の部屋から出て行った。
「じゃあ次に行きましょう。次の場所は葵ちゃんにとっては嬉しいかもしれないわね」
次の場所は居住区の中のそう遠くない一室だった。その部屋のインターフォンを押すとブーと音が響き中の住人に訪問者がいることを伝える。
ドアが開く。
心音が跳ね上がる。
「いらっしゃいませ」
褐色の肌の金髪の男が出てくる。そして男の奥に見覚えのある人がいた。
今まで暗かった景色が急に明るくなったように感じた。
(流星くんだ)
流星は葵の顔を見つめて笑みを浮かべているだけで返事は特にない。
「流星様、知り合いを見たら挨拶をするんですよ」
「あ!そうだったね。こんにちは。葵ちゃん」 流星が挨拶をする。
「こちらマイクさん。流星くんの従者よ」
葵は軽く会釈をする。
「また会えて嬉しいよ」
いつも優しい雰囲気の流星だが、心なしか葵を見ている目は特別優しい。
「私も…また会えたね」
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