2章 訪れた時

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二人で相談して、光甲虫に攻撃を加えようと構える。上半身を捻り、左手を前に出して、右手を引く。あとは上半身を回転させながら、相手の背後に拳を加えればいいのだ。 「ギャ?」  光甲虫の声。その声と同時に光甲虫の頭の後ろから筒みたいなものが突き出す。 「内部温度上昇を確認。二人とも避けて!」  美夏の声を聞き、オッドロスは上半身を後ろへと引く。  すると次の瞬間派手な音とともに赤い光線が空へと飛んでいき、雲と空を切り裂いた。  恐らく当たっていたなら即死だったろう。  次の行動を考えずにとった逃避行動のせいでオッドロスはそのまま尻餅をつき、住宅街を破壊した。  倒れたオッドロスに光甲虫はドタバタといった擬音の似合う歩き方で近寄り、そして、黒い羽根でオッドロスを殴打した。 「ギャァアアアア!!」  叩かれるたびに世界が揺れる。一瞬、頭が真っ白になり、そのあとに訪れる重い衝撃がオッドロスに乗った二人を襲う。 「うわぁああ」  悲鳴をあげる二人。  それでも光甲虫は殴打をやめない。短い羽根で何度も何度もオッドロスを叩き、目の前の敵を破壊せんがために打撃を加える。 「流星くん…このままじゃやばいよ。やられちゃう」 「大丈夫。落ち着いて。オッドロスはこの程度でやられるロボットじゃない」  色々な歴戦を繰り広げてきた。でもそのどれを取ってもオッドロスがこの程度のことで壊れたことはない。流星は過去の経験から深呼吸して落ち着く。 「光甲虫…いい加減離れろ」  尻餅をついた状態から光甲虫を蹴りで弾き飛ばす。吹っ飛ばされた光甲虫は後ろのビルに衝突してオッドロスと同じ尻餅をつく。 「うぉ」
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