3人が本棚に入れています
本棚に追加
鈍い声をあげ、光甲虫は頭を振り立ち上がる。
オッドロスもその隙に立ち上がる。
オッドロスと光甲虫が互いに互いを倒すためにらみ合う。
「これで完全に五分の条件だ」
「でも流星くんこの次はどうするの?」
「武器を使おう」
流星の提案だ。
「武器?武器なんてどこにあるの?」
オッドロスに装備らしきものなんてなかった。少なくとも葵が見た範囲だとそんなものを持っているようには到底思えなかった。
「オッドロスは月の兵器だ。地球の常識とは違う。乗り手の想像した武器を創造し戦うことができるんだ」
「二人とも…何してるの?早くしないと光甲虫が攻めてくるわよ!」
美夏が金切り声をあげる。
「ぅおおおお!」
光甲虫はしびれを切らしたのか、短い手足を振り一目散にオッドロスに飛び込んでくる。
それを見た二人は、右から左にかけて蹴りを食らわせる。世間一般的に回し蹴りと言われる蹴り方だ。力のこもったその蹴りに、光甲虫は再び建物を破壊しながら倒れる。
「葵ちゃんどんな武器がいい?」
「きゅ…急に言われても…」
そのとき、ふと思いつく。
月には兎がいて、餅をつくという逸話を。
「決めた!!いくよ流星くん」
「ああ。葵ちゃん」
何もない空間が突如として煌きだし、葵が想像した武器がその空間に現れる。
消えてしまった月の民、見たこともないかぐや姫、月への幻想…その全てを武器に詰め込んで…。
その武器を大きく振りかぶり、倒れてる光甲虫の体めがめて思い切り振り下ろす。
「くらえ…白兎の鉄槌!!!!!」
最初のコメントを投稿しよう!