4月1日 晴天

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4月1日 晴天

はら、はらはら。桜は、涙の様に落ちていく。 薄紅が、割れた硝子の様に散る。 散った花弁は、陽光に照らされて、泣いた様に濡れている。 「初めまして、綺麗な桜だ」 君の咲くような微笑みが、私に刺さる。 何も知らない無垢な表情、何も知らない。私の事も、何も、何も。 それが、どうして、こんなにも、心が、痛いのか。 「はじ、めまして、」 上手に笑えたかは、分からない。 笑っていいのかも、分からない。 上手くできていればね、何も知らずに綺麗に微笑む私がいるんだ。 でも、視界が潤んでぼやけてる。 「なんで、泣いてるの」 君は屈んで、私の顔を見る。 青色の目が私の情けない顔を見つめる。 見ないで、どうか。 私は、どうしようもない人だから。 悲しそうに潜めた眉の君は、人差し指で涙を掬う。 そういう事、するから、こういう目にあったんだ。 「初めまして………大好き…だっ……た……っ、…………」 溢れて散る花弁の様に、溜めていた感情が抑えきれなくなった。 嗚咽混じりの、情けない感情が止まらない。 「そっか、好きな人がいたんだ。 聞かないけどね」 君のことだよ。言わないけどね。 頭に、大きな手の平の感触を覚える。 そっと見上げると、君が撫でていた。     
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