4月1日 晴天

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無意識だったらしく、気付くと慌てて、手を引っ込めた。 「ご、ごめん。つい、」 両手を上げて、謝られる。 まるで、私が強盗する5秒前みたいだ。 可笑しくて笑う。 「あ、ああ……なんだ……分からないけど……大丈夫ってことだね」 安堵のため息を零した君は、優しい声で尋ねた。 「付け入る様で悪いんだけどさ。良かったら話、聞いていい?」  私が首を横に振ると、君の表情を見た。 一瞬、目を止める。息が止まる。 君の酷く傷付いて、涙を溜めた笑顔。 でも、私は大きく首を振る。 表情を見ない様に俯いてから、深呼吸をする。  それで、割り切った様に伝える 「初めまして。大好きでした。」  泣き腫らした真赤な顔で、断る。 でも、その声と笑顔はきっと自然なものに出来た。 「さようなら」 踵を返して、桜並木を早足で抜けていく。  それなのに、私の早足はあっという間に、君に追いつかれる。 「初めまして。でも、大好きです。」  真っすぐな声が、春の空気を揺らす。 「僕は、君がきっと大好きだ」 凛とした通る声が、この世界に響く。 周りの人も、私達を見て、ひそひそと話し始める。 ……やられた。  もう、振り返らざるを得ない。 そうやって、君と私は、また出会った。 君に、いつか伝えられる様にこうやって私は日記を書く事にしました。
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