交錯する運命

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「村が世間の評判が悪いのをご存知ないのですか? 潰したい輩は、 ごまんといるのですよ」 「ああ、 もういいよ。 ちゃんと、 悠貴を連れて帰ってこいよ」  村の出入り口。 人の出入りをチェックする建物がある。 村人は治める人の許可を得なければ。 村を出られない仕組みになっている。 許可証を見れば、 すんなり門を通してくれる。 甘くなかった。 子どもを連れていくのを、 番人が渋る。 光貴の粘り勝ちというより。 通りたいと望む人たちの不満の声に、 番人が負けた。  用事だけ済ませて帰ると、 悠貴は思っていた。 寄り道できる喜びは、 ひとしおだ。  手をつなぐ、 光貴を見上げる。 頷くのを見て、 悠貴は手を離す。 父の「転ぶなよ」の声に背を押される。 白砂の上を走り出す。 波打ち際に辿り着く前に、 足が止まった。
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