息子の反抗期

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キュンとした言葉がある。 「うるせぇクソババア」 もちろんこの言葉ではない。一人息子が中学にあがり、人並みに反抗期を迎えた。仕事人間であまり家にいることがない厳格な旦那には相談できず、私には息子の成長を喜ぶような余裕はなかった。旦那に逆らえない分、私への態度は日増しに強くなっていた。 ある日、珍しく旦那が早く帰ってきた。ちょうどその日も息子はイライラを私にぶつけているところだった。 旦那は表情を変えずに私と息子の顔を交互に見て、何も言わずに椅子に座った。旦那は怒ると黙る。表情がなくなる。まさに今、怒っているのだろう。 しばらくして、旦那が静かに口を開いた。 「お前は大切な息子だが、二番だ」 よく意味はわからなかったが、二番と聞いて息子の顔色は曇った。 「一番はダントツでママだ。ママを傷付ける奴はたとえ息子だろうと・・・」 恐ろしい・・・。 「叩き潰す」 旦那の静かな威圧感が息子を襲う。 それ以降、息子の反抗期は終わった。私は、怯える息子には申し訳ないが、キュンとしている自分を見つけた。
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