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1話 予兆
「いってきまーす」
「おう!」
黒髪に黒い瞳に一般的な顔の純日本人の東屋銀一は親父に声をかけ気だるそうに家を出ていった。
高二になり1ヶ月が経ち、銀一は高二になって初めてできた同じクラスの友人と、学校の少し前の交差点で待ち合わせをしていた。
「おーい」
「遅いぞ!」
「悪い」
「ったく、30分も遅刻だ。もっと早くこい!」
友人の葉月金二はただでさえ悪い目つきのを更に悪くして、太陽に負けないくらい金髪を光らせて待っている。
「なんで今日はこんなに遅れたんだ?」
「いやー、昨日の夜遅くまでTH弄ってたんだよ」
俺の家は農業用のTHの修理を生業としている。そのせいか今となったら俺一人でTHの修理が出来る。
「また、親父さんの手伝いしてたのか」
「まあな」
と、なんだかんだ話しているうちに自分たちクラスに着いた。
「あー、また金が銀をいじめてる!」
「金二さんは銀一さんをいじめてるんですか?」
「いじめてねぇわ!」
教室に着くなりいきなり突っかかって来たのはショートボブに勝気なつり目が印象の高木桃と、ロングヘアに豊満な胸と優しげな目をした小湊奏だ。
ちなみに奏は男子に人気が結構ある
「まあまあ、奏も桃も金二をいじめてるのはそのくらいにしとけ(笑)」
「何笑ってんだ!コラ!」
なんで俺がこんなクソヤンキーと仲がいいのかというとこいつは大のTH好きの隠れオタクだったのだ。
ある日俺がTHの雑誌を見てるとソワソワした様子でコチラに近づいて来たのですぐにわかった。
これが俺と金二が仲良くなった理由だ。
「あ!そうだ、今日アレやりに行こうぜ」
「あー、いいな!」
アレとは、THのコクピット内を模した対戦型ゲーム。通称THFG。このゲームは遊んだ後の記録をOSに記録することができ、本当の軍隊も訓練に取り込んでいるほどだった。
「まーた、男同士でイチャイチャして……出来てるの?」
「「そんな訳あるかぁ!!!」」
仲良し2人の叫びが谺響する。
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