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「うむご苦労、これであのギーク共を穀潰しという立場から解放してやれる」
雪兎の手の中から直接渡された貴金属の輝きに老人は満足して大きく頷くと、ソファーに寝転がったまま動こうともしないカルマを一瞥し、挨拶もそこそこにそのまま店の奥へと引っ込もうとする。
「ちょ……ちょっと待った! まだ御代貰ってねぇって!」
その思わぬ行動に雪兎は老人の背中へと慌てて追い縋った。
個人的な取引なら兎も角、今回の取引は要塞都市間の条約に則った取引であり、貴重な資源をタダで譲渡した上に資金を回収できなかったと上司に知れれば、自分の首が物理的に飛んでしまうと瞬間的に危惧した故である。
忙しなく床を叩き、ムキになって抗議を続ける雪兎。
そんな餓鬼臭い行為にウンザリするように老人は渋々向き直り、意地悪く頬を吊り上げると低く不機嫌な口調で呟いた。
「おっと悪かったな、受け取れこの盆暗」
「ッ!?」
刹那、老人の手元から放たれた3発の銃弾が、咄嗟に首を逸らした雪兎の耳たぶを掠めて背後の壁へと着弾し、煙を吹いた。
ほんのちょっと切れた耳たぶから飛び散った血が、乾いた土間に赤い染みを滲ませる。
「ふっざけんなよ糞ジジィ、ボケたんならとっとと病棟に閉じ篭って二度と出てくんじゃねぇ!」
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