5人が本棚に入れています
本棚に追加
雪兎は咄嗟に銃口を上げ、有りっ丈の弾を敵に叩き込もうとトリガーに指を掛けるがカルマの警告が踏んじばっていた足を逃走へと転じさせた。
『そんな豆鉄砲をいくら撃ち込んだって無駄です! 逃げて!』
そうカルマが言い終わるが早いが二人の頭上を丸太の様に太い足が通過し、振り抜かれたそれがトンネル横の壁を難無く崩落させた。
破壊の余波で大量の埃や破片が雪兎の頭上を舞い、黒い髪が灰色に塗れる。
「ええいクソ、こっちが下手に出れば好き勝手やりやがって……」
『私に考えがあります。 今から示すロケーターに従って走って下さい』
「へっ、ケツまくって逃げろってか?」
『考えがあると言ったはずですが』
「……チッ」
有無を言わせぬカルマの進言に雪兎は渋々従うと、ガードメカに背を向けて一発のグレネードを置き土産とばかりに投げ寄越した。
破壊するには至らないが、姿勢を崩すには十分な衝撃にガードメカが気を取られている内に雪兎は役立たずのライフルを投げ捨て全力で走り出す。 カルマが示したロケーターの終点を目指して。
『心配はいりません、必ずや貴方の命をお守りいたします。
それが兵器である私の大事な仕事なのですから』
「絶対だぞ! 忘れんなよ!」
瓦礫を乗り越え、隙間を這い、上から下へと大立ち回りを演じながら逃げ続ける雪兎。
最初のコメントを投稿しよう!