第3話 遺跡

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通常の小型害獣ならば間違い無く死んでいるであろう量の弾丸を喰らい、全身から赤い血を垂れ流す化け物。 しかしそれでも尚、醜い化け物は弱った素振りを見せる事無く悠々と向き直ると、短い四肢をバタつかせながら再び雪兎に喰らい付こうと身体を跳ね上げた。 「そう何度もやられると思ってんのかボケ!」 一度は貰ってしまったものの攻撃のパターンは突進の一つだけだと踏んだ雪兎は突っ込んできた化け物の噛み付きをリロードをしながら避け、反撃の為に身構える。 だがそれは早計だった。 ダッキングして避けた単調な突進。 しかし化け物は最小限の動きで避けられる事を理解していたらしく飛び掛った瞬間に顎を大きく成長させ、完全に避けたと思い込んでいた雪兎の左腕に深々と喰らい付いた。 「くっ……、誰が気安く喰い付いていいって言ったよ。  てめぇなんぞに食わせてやるほど安い肉じゃねぇぜ!」 精神的に許容出来る痛みの限界を超えたことで雪兎は激昂し、懐から抜いたグルカナイフで化け物の頭を滅多刺しにする。 しかし当の化け物は雪兎の左腕をがっちりと銜え込んだまま決して離そうとはしない。 ナイフで滅多刺しにされて尚、死ぬ事無く腕に喰らい付き続ける化け物に雪兎は軽い恐怖を覚える。 しかし決して手の打ちようが無い訳では無かった。 力で引き剥がせないのならば対処法は一つ、根元からふっ飛ばせばいいだけの話である。 「まだ終わっちゃいねぇぜ化け物……」     
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