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やがて雪兎は覚悟を決めると、汗と涙を流し呻き声を上げながらトリガーを引く。
「――ッ!」
一時の沈黙の後、ダァンッという重い火薬の破裂音と共に半分化け物と化した身体がゆっくりとその場に崩れ落ちる。
頭を襲った衝撃に意識を掻き乱され、眼をだらしなく半開きにする雪兎。
その視線の先には悲しげな表情を浮かべ、黙って雪兎が死に逝く様を見つめているカルマの姿がある。
しかしこの時雪兎は全く異なる影を彼女に見出していた。
帰るべき場所で待ち続ける大切な人の笑う顔を、何時も通り必ず帰ると約束した乙女の姿を。
「死にたくなかったな……まだ……」
力が抜けゆく手を必死に伸ばしてそれに触れようと足掻くも適わず、伸ばした手は宙を切って、やがて動かなくなる。
消えゆく力、消えゆく音、消えゆく光。
しかし全ての感覚を失って尚、死にたくないという思いだけが何処までも続く闇の中で、何時までも鼓動を続けていた。
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