第1話 覚醒

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爆発の衝撃に煽られて生き残りの化け物共が堪らず地面へと落ち、甲殻の表面を軽く焦がすが、害獣共がその熱さに悲鳴を上げる暇など無かった。 燃え広がった爆炎の輝きを受けて鈍く光る複眼の底に、圧倒的な力を有した白銀の影が揺らめく。 背には翼とはとても形容し難い奇妙な形状のブースターが生え 長く靭やかな尾の先端には巨大なブレード付きのアンカーが輝き 銀色の装甲の表面を紅い隈取りの様な紋様が浮かび上がっては消え 竜の頭部を模したヘッドパーツには紅く輝く三つ目を戴き 強靭な牙が生え揃う顎門の奥底には大口径の砲口の影が見え隠れする 全身凶器という言葉をまさに体現した異形。 “ドラグリヲ” そう呼ばれた機械竜は逆関節の脚部で地を抉り、天高く跳ね上がると地に這い蹲る害獣共に向かって、咆哮と共に躍りかかった。 振り翳した鉤爪に月光を、興奮で引き絞られた瞳に純然たる狂気を宿して。
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