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桜のジンクス
晴緋が一息つきふせっている樹実人を見下ろしながら問うた
「なんなんだよ。離さないって。俺は、ここにいるぜ」
樹実人は、うつむきながら元気のない声で
「晴緋に好きな人ができて両思いになる為に毎日必死になってて
もし、両思いになったら晴緋がその子に取られるんじゃないかと
思ったら辛くて寂しくていてもたってもいられなかった」
はじめて聞く樹実人の弱音に不覚にも可愛いと思えた
3枚掴んだら告白する
いい機会なので腹をくくった
「俺は、どこにもいかねーよ」
樹実人が勢い良く立ち見下ろしてくる
「そんな保証ないじゃん!彼女できたら俺なんてほったらかしで
彼女とばっか遊ぶんだろ!!」
「好きな女子なんていねーよ!」
「じゃー好きな人って誰だよ!!」
「樹実人!お前だよ!!」
「樹実人て!!!・・・・俺?」
「誰がいんだよ!!くっそーーーー」
恥ずかしくなり次は、晴緋がふせってしまった
樹実人も晴緋に合わせて腰を落とし
ささやくように
「晴緋、俺の事、すきなの??」
晴緋は、下を向いたまま無言で相づちをする
「なーんだ!両思いだったんだ!焦って損した!!」
能天気すぎる言葉に驚いて恥ずかしくてふせっていた顔を
勢いよくあげてしまった
「おい!!お前、いつから俺の事好きなんだよ!!」
いつもの調子で樹実人が応える
「えっ?桜の木の下で声をかけた時から
桜の木の下で笑ってる晴緋がかわいくて声かけた
友達になれただけで満足してたけどダメだったわ!」
晴緋は、あぜんとした
両思いになろうと努力をしたり男を好きになった自分に
悩んだ日々がすべて無駄だったと思うと落胆した
落ち込む晴緋を横目に樹実人は、はしゃいでいた
「やったー安心した!晴緋の好きな人が俺でよかった!
晴緋、知ってる??桜の木の下でキスしたカップルは、
幸せになれるんだぜ」
晴緋は、少し真剣な目で
「俺たちまだ、カップルじゃないぞ」
樹実人は、ハッとした顔で
「あっ!そうだった!改めて
晴緋、好きです。俺と付き合ってください」
晴緋は、満面の笑みで
「おう!」と応えた
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