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「はいはいー」 ドアの向こうから間延びした声が帰ってくる。 頼斗は勿論、その声の持ち主を知っている。 精神科医のミーリス女医の声だった。 豊満な体を持つ包容力のある女医だ。 彼女の優しく、甘やかしてくれそうなイメージが、このメンタルケアという場所を「甘ったれの行く所」と思わせている所もある。 だが、その腕は確かだと聞いていたからこそ、頼斗はこの場所に来てみようと思ったのだ。 「さっきの戦い大変だったみたいだねー・・・もしかして、何かあったの?」 「あ、いや・・・」 「何かあったから来たに決まってるよね。ごめんねー」 ミーリスはいそいそとお茶を入れ始めた。 診察室は先ほどの先頭の影響か、棚が倒れ、騒然としている。 そんな中にも関わらず、何となく落ち着く雰囲気がここには有った。 それはミーリスの人柄のせいか、お茶の香りのせいかは分からないが、恐らくその前者が大きいのだろう。 「基地が大変な時だからこそ、私も頑張らなきゃねー。来てくれて良かったよ。来てくれなきゃ、私も基地を救うチャンスが無いからねー」 「チャンス・・・ですか」 「そうだよー。私が話を聞く。君が調子を戻して大活躍・・・って事は私の仕事が役に立ったって事でしょう?」 とんでもないポジティブシンキングだ。と頼斗は思った。 ちょっと苦手なタイプかもな。とも思った。 頼斗はここに来るまで相談する内容を考えていなかったが、苦手繋がりでヴェインの事を相談してみる事にした。
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