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トレーニングルームに向かう頼斗を呼び出し音が引き止める。
今後についての説明があるとの事だった。
大ホールに集められた皆の前で准将が説明を開始する。
「遺憾ながら、この基地を遺棄する事となった」
ざわつく兵士たち。
どうやら、先ほどの敵の攻撃は基地施設、および人員に致命的な打撃を与えたらしく、次の攻撃を防げる保証が無いというという判断が下されたようだった。
生き残りはみな、50㎞離れた別の基地まで撤退する事になる。
大々的な発表の後、部隊ごとの具体的な作戦について説明がされる。
頼斗は大ホールからヴェイン達の待つ格納庫に移動した。
正直、暫くはヴェインの顔を見たくなかったが、そう言っている場合ではなさそうだ。
「ま、聞いての通りだ」
ヴェインの機嫌は悪そうだ。
ここで徹底抗戦する事を提言したらしく、それが却下されたのが気に入らないのだろう。
「それで、やはり、我々の任務は・・・」
ゴードはいつでも察しが良い。
「そうだ。逃げる連中の尻を守る事になった」
「殿(しんがり)ってやつですね!」
リタは何故だか嬉しそうだ。
撤退を援護する任務の何が嬉しいのか頼斗には分からないが、リタはそれを「味方を助ける格好良い任務」と捉えているようだ。
「まったく、腰抜け共の集まりだよ。ここは。前からあの准将は気に入らなかったんだ。ああいう奴が一人いるだけで軟弱が伝染する。ドサクサに紛れて・・・」
「隊長・・・そのへんで」
ヴェインの毒吐きを止めたのは、やはりゴードだった。
「とにかく決行は明朝だ。各自、準備しておけよ」
ヴェインはそう締めくくった。
「おい、新入り。メンタルケアは行ったのか?次は砲台くらいには役に立てよ」
締めくくったのに、余計なひと言を追加してくる。
やはり、コイツは許せない奴だ。頼斗は改めてそう思った。
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