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撤退戦は苛烈を極めた。 頼斗達の活躍も空しく、次々と破壊されてゆく味方達。 ようやく目的地が見えてきた頃には半分以下に減っていた。 そこは鉄壁の防御で名を馳せた要塞だった。 巨大な壁で守られ、いくつもの砲台が備え付けられている。 壁の向こうに逃げ込めば、流石の敵も諦めて逃げ帰るに違いない。 だが、そんな基地を前にして頼斗達は足止めを食う事になる。 「なんだ!?何故止まる?先頭はどうなってる?」 「ちょっと待ってください・・・そんな、まさか・・・隊長、どうやら要塞のゲートが開かないらしいです。足止めを食ってます」 「馬鹿な!准将は要塞との話はついていると言っていたぞ」 そうしている間にも敵の攻撃は休みなく続けられる。 足止めを食っているせいで敵の良いマトだ。 「一体、何が起きているんだ!」 砲台で応戦している所を見ると、無人という訳ではないようだ。 「ちっ!頼斗!お前、様子を見てこい!」 ヴェインはこの場に居る隊員の中で最も居なくなっても支障の無い頼斗に偵察を命じた。 頼斗もそれが分かって少しばかりプライドを傷つけたが、これくらいで落ち込むことは無い。ゴードがかつて「いつか慣れる」と言っていたのを思い出しながら「了解」と短く答えて隊列の先頭に向かった。 ・・・途中、敵の攻撃を受ける味方を見るのは忍びないものだった。 何度か足を止めて、味方の救援に向かおうとしたが思い止まった。 それよりも原因を突き止めて、味方が要塞の中に逃げ込めるようにする方が先決だと思ったからだ。 その想いがヒトガタの加速性能をさらに向上させる。 頼斗は隊列の先頭に着くと直ぐに准将が乗る陸上戦艦に接触し、通信回線を繋いだ。 「ヴェイン隊の頼斗少尉だ。何が起きてる。何で足止めを喰らってるんだ?」 「要塞はゲートは開けないと言ってきているんだ。敵を一匹たりとも入れたくないそうだ」 「そんな馬鹿な」 「だから、敵を撃退した後、ゲートを開き、我々を収納すると言っている」 「だったら援軍くらい出してくれたって・・・」 「奴らは我々の為に一ミリたりともゲートを開きたくないらしい」 「・・・分かった。隊長にそう伝える」 頼斗は来た道を戻りながら、この怒りの矛先について考えていた。
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