16/17
前へ
/17ページ
次へ
頼斗の報告を受けたヴェインは静かに「分かった」と答えた。 頼斗の報告はオープン回線で伝えられ、この場所に居る全ての者に伝えられる。 勿論それを聞いた全員が不満を口にしていた。 中には泣きだし、己の生を投げ出すかのような発言をする者も居た。 「黙れぇえええええ!ピーピー喚くな雑兵共!」 それはヴェインだった。 「ヴェイン隊!事実がどうあれ、我が隊のやることは決まってる。敵を一匹でも多く破壊する事だ!正念場だ!修羅場だ!俺に続け!」 どうやらヴェインはキレたらしい。 頼斗はニヤリと笑っていた。 初めて彼の口から心から同意できる発言を聞いたと思ったからだ。 怒りはヒトガタの性能を不安定にさせる。 だが、隊長から許可が出た。 「ここは怒りにまかせて戦って良い」と。 「味方に銃を向ける訳にはいかないからな!お前らで憂さ晴らしさせてもらうぜぇ!」 頼斗は得意の機動力を生かした戦い方で次々に敵を撃破してゆく。 まるで水を得た魚のように。 「不義理な連中だ。いつか目に物を見せてくれる」 ゴウドが二丁の大型ランチャーを乱射する。 その一つは頼斗が投げ捨てた物だった。 二丁同時射撃にも関わらず、命中率は高かった。 どうやら激昂しながらも冷静さは失わない性格のようだ。 「いいねーそれ!アタシたちの実力で嫌な奴を黙らせるって!王道じゃん!それ、アタシ格好イイ!」 リタが怯むことなく敵の懐に潜り込み、手にした大型のマチェットで敵を切り裂く。 その動きは素早く、どこか戦いを楽しんでいるようにも見える。 「餌だ。お前ら全員餌だ。お前ら全員、俺の餌だ。エサ、エサ、エサ、エサ、エサ、エサァ!俺の糧になれ!エサ共が!」 銀光の残影を残しながらヴェインが敵を撃破してゆく。 狂気的な動きで敵を翻弄し、思いもしない方向から必殺の一撃を入れる。 恐らく敵は何故自分が撃破されたのかも理解できないだろう。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加