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頼斗の報告を受けたヴェインは静かに「分かった」と答えた。
頼斗の報告はオープン回線で伝えられ、この場所に居る全ての者に伝えられる。
勿論それを聞いた全員が不満を口にしていた。
中には泣きだし、己の生を投げ出すかのような発言をする者も居た。
「黙れぇえええええ!ピーピー喚くな雑兵共!」
それはヴェインだった。
「ヴェイン隊!事実がどうあれ、我が隊のやることは決まってる。敵を一匹でも多く破壊する事だ!正念場だ!修羅場だ!俺に続け!」
どうやらヴェインはキレたらしい。
頼斗はニヤリと笑っていた。
初めて彼の口から心から同意できる発言を聞いたと思ったからだ。
怒りはヒトガタの性能を不安定にさせる。
だが、隊長から許可が出た。
「ここは怒りにまかせて戦って良い」と。
「味方に銃を向ける訳にはいかないからな!お前らで憂さ晴らしさせてもらうぜぇ!」
頼斗は得意の機動力を生かした戦い方で次々に敵を撃破してゆく。
まるで水を得た魚のように。
「不義理な連中だ。いつか目に物を見せてくれる」
ゴウドが二丁の大型ランチャーを乱射する。
その一つは頼斗が投げ捨てた物だった。
二丁同時射撃にも関わらず、命中率は高かった。
どうやら激昂しながらも冷静さは失わない性格のようだ。
「いいねーそれ!アタシたちの実力で嫌な奴を黙らせるって!王道じゃん!それ、アタシ格好イイ!」
リタが怯むことなく敵の懐に潜り込み、手にした大型のマチェットで敵を切り裂く。
その動きは素早く、どこか戦いを楽しんでいるようにも見える。
「餌だ。お前ら全員餌だ。お前ら全員、俺の餌だ。エサ、エサ、エサ、エサ、エサ、エサァ!俺の糧になれ!エサ共が!」
銀光の残影を残しながらヴェインが敵を撃破してゆく。
狂気的な動きで敵を翻弄し、思いもしない方向から必殺の一撃を入れる。
恐らく敵は何故自分が撃破されたのかも理解できないだろう。
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