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「何をボケッとしてやがる!ヒトガタのパイロットのプライドは無いのか?自分の身くらい守って見せろ!」 「や・・・っってますよぉっ!」 ヴェインの戦闘能力はゴードが言う通り大したものだった。 頼斗をフォローしながらも、大量の敵を極めて効率の良い、無駄のない動きで撃破してゆく。 だが、ヴェインにフォローされればされるほど、憎きヴェインとの力の差を思い知らされ、頼斗は自信を失ってゆく。 自信を失う事によってヒトガタの性能が低下し、それによって生じる失敗でさらに自信を失う。頼斗は負の螺旋に囚われていた。 そんな頼斗が生き残れたのは、ヴェインの力によるものだった。 認めたくないが、頼斗がいくら意地になってもそれは絶対的事実だった。 やっとのことで敵の襲撃を退け、基地に帰還した頼斗にヴェインは一言だけ声を掛けた。 「メンタルケアに行け。こういう時に行くもんなんだろう?俺は行ったことないが」 メンタルケアというのはヒトガタのパイロットにのみ許された、精神的な不調を回復させるための場所だ。 その方法は様々でストレスを解消させるために、かなり如何わしいことまで揃っている。 中には勿論、精神科医の問診や各種セラピーなどの普通のものもあるが、先に挙げた「怪しい」ものの印象が強く、周りからは「甘ったれの行く場所」というレッテルを張られている。 頼斗は勿論、そんな場所に行きたくは無かった。 だが、いくら悩んでも今の状態をどうしたらいいか分からず、言われるがままにメンタルケアに向かうことにした。 ハッキリ言って救いを求めていた。 ゴードにいつもの様に愚痴っても良かったかもしれないが、彼の口からヴェインを讃美するような言葉が一つでも出て来たら、ゴードの事まで嫌いになってしまいそうで、嫌だった。 頼斗は呆然としながら、精神科医が居る場所の扉を叩いていた。
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