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「じゃ、行くぞ。
ポンポンポンって、スピードをできるだけ落とさないように。
ちゃんと俺について来て」
俺は寧々を何度も見ながら、崖の道に足をかける。
まずこことか、いい感じとか、励ましたり導いたりしながら。
でも、その不運は突然やって来た。
俺が後一歩、寧々が後二歩というところで、崖の上から突風が吹いた。
俺は大丈夫だったけど、寧々はバランスを崩し体が後ろに揺れた。
俺はとっさに寧々の手を掴んだ。
掴んだけど…
俺の寧々の手を掴む力は結局はまだ子供の力しかなくて、俺だけを信じて俺の手を握りしめていた寧々の手は、俺の手から離れていった。
寧々は崖の下の緑の茂みに落ちていく。
そして、俺の全ての感情はそこで途絶え、俺の人生は何もかもが闇に変わった。
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