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 俺はアンドロイドの未来について頭を抱えていた。人間のようになれば、アンドロイドの最高傑作であり、そこで終了するものだと思っていた。けれども、そうではなかった。   至極当然なのかもしれないが、アンドロイドが人間に近づきすぎると機械性が失われた。人よりも感情に囚われるようになり、暴走を始める。現に、試作導入中のカウンセラー型アンドロイドは数々の問題を抱えている。相手の気持ちをデータとして照らし合わせ、今までの経験と知識でアンドロイドは最良の共感をできると確信していた。   しかし、それは机上の空論に終わった。みんなあいつのようにはならなかった。では、あいつと彼らの違いは一体どこにあるのかとここ数日ずっと考えていた。あいつには一切、感情に関するプログラミングを組み込まなかった。   それでも、いつしかそういう感情を知るようになった。人間と同じように笑い、悲しみ、葛藤する。そんな姿を見て、開発者の俺でさえ人間なのではないかと錯覚した。   俺はあいつを見て、改めてレイが失敗作だと思い知り、レイを格納庫にしまっておくようになったのだ。それから四年の歳月が流れているのだから、研究所内でレイの存在を知る人物となればより限定されるだろう。   少し昔話をしすぎたのが原因かなと怒号が飛び交う研究所内で静かに呟いた。椅子に倒れ込もうと思った瞬間、再び爆発音が轟いた。
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