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第二章 相談の内容
『 拝啓 相談部兼漫画・アニメ研究部会様方。
コノ度ハ相談部兼漫画・アニメ研究部会様二折リ入ッテ御願イガアリ、ゴ多忙中ノトコロトハ思イマスガ、筆ヲ執ラセテイタダキマシタ。
実ヲ申シマスト本校、私立夕陽ヶ陽丘高等学校ニ生ズル怪奇ニツイテ、調ベテイタダキタク、モシヨロシケレバ解決シテイタダキタイ所存デゴザイマス。
詳シクオ話デキナイコトヲ残念ニ思イマスガ、生徒ノ多数ガ存ジテイルハズデスノデ、聴取カラ御願イ致シマス。
尚、今回ノ御相談ニ関シテハ他言無用デ御願イシタク、誠ニ勝手ナガラヨロシクオ願イ申シ上ゲマス。
皆様方ノゴ無事息災ヲ心ヨリオ祈リイタシマス。』
長い、回りくどい。そして読みにくい。これってつまり…
「簡単に言うと、この学校の怪奇事件について、調べろってことだろ?」
そう解釈を付けると、二人は頭を上げ「あぁ!そういうことか!」と、声をそろえて言った。わかってなかったのか。
「しかも、第二高の方も含むみてぇだな。」
俺らの通う私立夕陽ヶ丘高等学校は二つに分かれており、第一、第二となっている。
二つの校舎は少し距離があり、行き来をする人はあまりいない。そんな中でこんな内容の相談を出してくるとは… しかも最後に
「差出人の名前もないわね。」
そう。部長の言う通り、差出人の名前が書いていないのだ。とにかく、解決してくれってことらしいな。
「おかしな奴。」
「ちなみに、杏と部長はこの怪奇について、なんか知ってる?」
と、達也は俺らに聞く。杏と呼んだことにはもう何も言わない。話が進まなくなるからな、大人の対応というやつだ。
「いや、俺は知らん。」
「私もよ、初めて聞いたわ。」
…早速行き詰ったな。
俺らはそこまで噂に敏感ではないから、知らなくて当たり前なのかもしれない。しかし、それではこの依頼にこたえることができない。
「まずは他の部員にも聞いてみる必要があるわね… でも、みんな知ってるかしら。」
「いや、知らないでしょうね。なにせ変わった性格の奴らが多いんですからね。」
部長も達也も、「う~ん」と頭を悩ませている中、俺はスマホを開いて連絡先の一覧を開く。
これ以上部活の名を廃れさせないためにも、一つ聞いてみるか。
「あれ?どこに電話してるの?」
はてなマークを浮かべる部長に、俺は言う。ドヤっぽい顔で。
「何って…この学校で一番噂好きな奴に聞くんですよ。 その依頼について。」
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