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博士は他にもいろいろなことをやってみたが、女性は何をされても博士に笑顔を向けた。 そこで博士はついに、自分でタイムマシンを作り、未来へ行って女性が本当に自分を愛していたのかどうか確かめることにした。 博士は何年もかけてタイムマシンを作ると、女性に『他の男の人と結婚してもいいよ』と書き残して一人で未来へ行ってしまった。 それから何十年も時が流れ、すっかりおばあさんになってしまった女性の元に、ある日おじいさんになった博士が戻ってきた。 「ただいま」とおじいさんになった博士が言った。 「おかえりなさい」とおばあさんになった女性は言い、こう尋ねた。 「探していた答えは見つかりましたか?」 その問いにおじいさんになった博士は嬉しそうに答えた。 「ああ。見つかった。未来に行って君の子孫がいないかどうか調べたけれど、どこにも君の子孫はいなかったよ。君は僕だけをずっと愛してくれたんだね。」 それを聞いて女性は笑って答えた。 「当然よ。私は貴方だけをずっとずっと想っていたんですもの。」 その笑顔をみて、博士は心底幸せな気分になった。 「こんなにおじいさんになってしまったけれど、その君の笑顔、今までずっと、1日だって忘れたことはなかったよ。また見られて嬉しいな。」 二人は寄り添うとそのまま静かに眠りにつき、もう二度と離れることはなかった。
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