或る揚羽蝶の話

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あるところに、一人ぼっちのツツジと人気者のアゲハ蝶がおりました。 ツツジはずっと一人ぼっちでした。 でも、アゲハ蝶と出会って、とても仲良くなりました。 ツツジはもう寂しくなくなりました。 アゲハ蝶が蜜を吸っている間、ツツジとアゲハ蝶はたくさんお話をしました。 毎日、毎日。 ある時、いつもなら来るはずの時間にアゲハ蝶が来ませんでした。 どこかで寄り道をしているのだろう。 ツツジはそう思って、待ちました。 しかし待てど待てどアゲハ蝶は来ませんでした。 ツツジはまた一人ぼっちになりました。 一週間ほど経ったある日、若いキアゲハが蜜を吸いに来ました。 ツツジは少し寂しさから開放されて、たくさんキアゲハとお話をしました。 キアゲハはその日しか来ませんでした。 次の日、アゲハ蝶が来ました。 ツツジは、なんで来なかったの、ずっと寂しかった、と言いました。 アゲハ蝶は、君だって、キアゲハと楽しそうに話していたじゃないか。と言いました。 ツツジは何も言えませんでした。
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