憧れの人

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恐る恐る びくびくしながら 自分の右手を おずおずと差し出した。 あと数ミリで優貴くんの手に届く! その瞬間 猛烈な速さで わたしは、自分の右手を 引っ込めたのでした。 「あーなんだよ」 怪訝そうに顔をしかめた優貴くん。 「あの、いえ……その! あ、ありがとうございました!」 私は長椅子から立ち上がり、 呆気にとられている優貴くんを 置いて ぎこちない足取りで歩いた。 そのまま振り返りもせず、 挨拶もしないで 私はロボットみたいに歩き 麗ちゃんの控え室へ ノックもせずに 入ってしまった。
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