闇世界

1/1
前へ
/3ページ
次へ

闇世界

谷に投げ出された筈なのに水に体を打ち付けた。 あの谷の下に川はないと聞いたのに。 真っ黒な水に頭を支配しようとする数多な声に窒息しかける。 「ほら、つかまって。鼻で息を吐いて」 そんな中、現れた人に言葉をなくした。 真っ青な髪、真っ青な眼、爪や服まで真っ青な人物がいた。 「あなたは?」 「私は闇王。あなたを招き寄せたもの。 さぁ、話せるなら大丈夫ね。私をしっかり抱き締めていて。今から陸に上がるから」 彼を抱き締めると、いいこ。と頭を撫でられ、彼は巨大な翼を広げ、真っ直ぐ水面から上を目指し、飛び出した。 水面から出た世界も所々に灯りはあるものの、真っ暗だ。 そんな場所に驚く俺に彼は綺麗に笑って告げた。 「ようこそ!生贄達が行き着く世界 闇世界へ!」 それはとても綺麗な世界だった。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加