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闇世界
谷に投げ出された筈なのに水に体を打ち付けた。
あの谷の下に川はないと聞いたのに。
真っ黒な水に頭を支配しようとする数多な声に窒息しかける。
「ほら、つかまって。鼻で息を吐いて」
そんな中、現れた人に言葉をなくした。
真っ青な髪、真っ青な眼、爪や服まで真っ青な人物がいた。
「あなたは?」
「私は闇王。あなたを招き寄せたもの。
さぁ、話せるなら大丈夫ね。私をしっかり抱き締めていて。今から陸に上がるから」
彼を抱き締めると、いいこ。と頭を撫でられ、彼は巨大な翼を広げ、真っ直ぐ水面から上を目指し、飛び出した。
水面から出た世界も所々に灯りはあるものの、真っ暗だ。
そんな場所に驚く俺に彼は綺麗に笑って告げた。
「ようこそ!生贄達が行き着く世界 闇世界へ!」
それはとても綺麗な世界だった。
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