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スポーツ下手でコミュ障。ある程度勉強ができるだけであとはめぼしい特徴もなし。
同じような夢を見る二人でも、これだけ大きな差が開いているとなると待遇が大違いなのは当たり前だと感じる今日この頃。
今日だって、彼は全国レベルのバスケ部で猛練習。僕は普通に帰宅中。
正反対どころか比べるのすらおこがましいレベルだ。
「しかし、あの夢には一体何の意味が……」
繰り返し見るということに何か意味がある気がして、未だに嫌な予感は留まることを知らない。
「あの夢では確か、ここの大通りを右に曲がった辺りで……」
そう呟きながら右に曲がろうとした、
その時。
「ん?」
――急速に周囲が暗くなっていき、夜かと見紛うくらいになった。
「雨か……?」
洪水確率十%で降るのも珍しいなと思いつつ空を見上げる。
――しかしそこには、目を疑うものが浮かんでいた。
「え、マジ? UFOじゃん!」
「スゲェ! 本物かよ」
「いや、何かの撮影かもよ」
「それにしては規模が大きくない?」
近くにいたウェイ系の集団みたいな奴らが騒ぐなか、僕はまさしく空いた口が塞がらないという状況に陥っていた。
というのも、空を覆い隠すように浮かぶその天蓋は、僕が夢で見たソレと全く同じだったからだ。
「まさか……いやでも……」
夢で見たあらゆることがフラッシュバックし、これから起きるであろう事象が頭をよぎる。
「うーん、これだけでかいと収まりきらないね」
「一部だけでもいいんじゃない?」
「それもそうだね!」
楽しそうにパシャパシャ自撮りをしている奴らの横で、僕は呆然と立ち尽くしていることしかできなかった。
――しばらく、具体的には五分ほど経って、沈黙状態のソレは動きを見せた。
何をしたかと言えば、所々に空いている穴から何かが十数発射出されたのだ。
「あ、あれは……」
夢に出てきたポッドのような物と全く同じ物が地上に飛来し、間もなく様々な場所から悲鳴が上がった。
「ちょっと、マジでヤバくない?」
「あ、ああ、逃げようぜ!」
「でもどこに?」
「どこかに!」
それには流石の彼らでも恐怖が勝ったようで、アテもなくどこかへと走り去っていった。
それを皮切りに人々は冷静さを失い、散り散りに逃げ始めた――
――が、そんな中でも、僕はやはり動くことができなかった。
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