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――しかし、数秒経っても奴の腕が僕の方まで到達することがなかった。
恐る恐る顔面を覆う自分の腕をどけてみると。
「こ、これはぁ? まさかぁ……」
奴は動きを止めていた。
というより、動けないという表現のほうが正しいかもしれない。
「……あなたがターゲットの……」
奴は完全に沈黙した。
「ハアッ、ハアッ」
やっと動くようになった足を庇うように立ち上がり、背後の板切れに背中を預けて状況を確認する。
「これは、一体……?」
だけど、不可解な現状からは何も分からなかった。
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