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――まるで拳銃を突きつけるように腕を突き出したまま数分が過ぎた頃、また手のひらが光りだした。
それを確認してから、一度深呼吸をして覚悟を決める。
「じゃあ、行くぞ」
一分で聞き出せることなんて限られている。よって、何を聞くかはしっかりイメージしておくとして、それの対策も一応編み出しておかなければな。
例えば、一気に命令したとして、それが実行されるのかどうかとか。
「とにかく、『動け』」
石化が解けるように、パキパキという音を鳴らしながら動き出した、奴ことネトリを監視しながら、次の命令を言うために口を開く。
「ついに見つけましたぁ。王よ、あなた様がお望みの……」
「『僕に危害を加えるな』」
「ウグッ」
いきなり僕を捕まえようと腕を伸ばしてきたネトリに、先手で王手を仕掛ける。
そうすると奴は僕へと近寄れないことに歯がゆさを感じているようで、悔しそうな顔をした。
「あぁ、目の前にいるのに。ワタクシが献上できるというのにぃ」
「『跪け』そして、『この僕の能力について話せ』」
「クッ……」
奴があの場所でやったように足の自由を奪っておけば、最悪能力が使えなくなっても次のインターバルを終えるまでの時間を稼げる筈だ。
極力そうならないように気をつけておきたいところだが、現実的に考えて、一分では余りに情報が足りない。
よってできるだけ多くの情報を得るためには、なるべくこちらに時間制限があるのを悟られないように、そしてこちらに主導権があるのだと思わせなければならない。
「ワタクシにぃ、その力のことを話せとぉ?」
「そうだ『話せ』」
どうやら連続すると強制力に欠けるらしいな。まあでも、拘束力が申し分ないなら十分だ。
――奴はニヤッと笑って、気味の悪いトーンで喋りだした。
「ワタクシは隊長クラス。そのワタクシに命令できるのは総隊長以上」
その代わりにあのねちっこい話し方ではなくなったが、不気味さはむしろ増していた。
だからだろうか、背中に走る悪寒を禁じ得なかった。
「その総隊長でもワタクシに強制はできない。それができるのは王か、それに類する者のみ」
「何が言いたい?」
「つまりあなたは、ワタクシたちの王族の血を受け継いでいる」
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