第二話 奴らの目的

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 ――ッ!  僕がこいつらの王の血を?  じゃあ僕は一体何者だ? 本当に地球人なのか?  ……いや、落ち着け。ここで焦ったら奴の思う壺だ。   「しかも裏切り者の一族。十三王子の末裔。……いや、それはこの星の二割ほどがそれに当たりますが、あなたを含む十数人が特に……」 「特に何だ?」 「……色濃く受け継いでいるのです」    こいつの話を聞く限り、王は十人以上居るみたいだが、二割がその血を受け継いでいるとなると相当昔に地球に入り込んだ筈だ。  現時点ではだからどうだって話だが。  ……クッ、もう時間がない。   「『お前たちの正体について話せ』」 「……私たちはあなたたち地球人が神と呼ぶ存在」    ――光が消えた。  でも、だからといって動揺を見せては駄目だ。  あくまで落ち着いて、次に光が生じるまでこいつの話を聞くことに徹する。  まあ、何も言わなくなれば怪しまれるので、   「神だと?」    って感じで時折ツッコミを入れるとして、とにかく半端じゃないプレッシャーだ。  奴は僕に危害を加えることはできないが、例えば相手によって効く時間が変わったりなんかしたら、化物が未だに敬礼をし続けているとはいえ安心できない。  それに、僕がターゲットという情報を持ったまま逃げられると厄介だ。   「私たちの祖先は約二千年ほど前にこの星を征服し、そして知識を提供し去りました」 「なぜ去った?」 「この星は資源の塊ですが、直接掘り返すには余りにも規模がでかい。他にも支配した星はたくさんありましたし、現地人である地球人の発展に任せることにしたのです」    その時代にこいつらが来たという文献は全くと言っていいほど残っていない筈だが、完全に支配されていたのならば当たり前か。  ……いや、にわかに信じるべきではないが、不思議と拒絶できるような話でもない。   「その時代の名残として、地球人は我々に逆らえないのです」 「あの場所で僕の足にやったようにか?」 「その通り。あなた方には奴隷根性が植え付けられているのですよ」    憤慨したくなる気持ちを抑えて、少なくとも地球人はこいつらには逆らえないという事実は考慮する。  ……それに、未だに空を埋め尽くしているUFOに関して言えば、あの質量の物体が浮いているということによって、相当の技術力を持っているというのは認めざるを得ない。  
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