第二話 奴らの目的

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「正直あなた方には失望しましたよ。まさか二千年も掛かってしまうとは」 「うるさい。とにかくなぜ奴隷呼ばわりする星にお前らの王の血が紛れている?」 「それを答える義務はありませんね」    ……チクショウ。勢いでは押しきれないか。  ならば早く光って欲しいものだが、精神状態に影響されたりしないだろうな? 「ならばお前たちの正体について、まだ話していないことを話せ」 「私たちは一人の絶対王の配下のもの。そして今そこで敬礼をさせられているのが雑兵ども。……まあ、あなた方地球人の方が位は低いんですけど」  どういうことだ? 王が一人?  さっきの十三王子の話はどうした?  ……聞きたいことが多すぎる。もどかしさに押し潰されそうだ。  こうして腕を突き付けているのも体力的に限界が来そうだし、奴も跪いた姿勢から動かないとはいえ、こちらの意図を察したかのような視線を送ってきやがる。   「なぜ自分たちの星については答えない?」 「…………」    ……どういうことだ? 普通に考えて星については一番に語るべきところだ。  なのにこいつは名前すら言わない。  僕の命令を無視してだ。  何か、何か別の圧力でも働いているのだろうか。  例えば――    ――そんなことを考えていると、また手のひらが光りだした。  内心ガッツポーズでもして喜びたいところだが、そういう訳にもいかない。  あくまで自然にしておかないと、後々のためにならない。   「では次に、なぜ奴隷と罵る地球にお前たちの王の血が混ざっているか、『答えろ』」    これだけ長い質問でも聞き入れられるのかのテストも兼ねて、僕は早口で言った。  すると奴は途端に憎しみに染まったような顔をしだし、またねちっこい話し方に戻って答える。   「私たちの星を急速に発展させぇ、今の体制を作った世代ぃ。それが十三人の王子が君臨した時代ぃ」    怒りに満ちているせいか、奴は若干変なイントネーションのまま続けて言う。   「その中で最も不必要だったくせに十三王子はぁ、星を捨て地球に逃げましたぁ」    その様には狂気すら感じられて、恐怖からか後ずさりしてしまった。  ……光が消えた?   「奴はこの地球で神を名乗りぃ、思うように操りだしたのですぅ」    奴は話すことに集中しているせいか、僕の手のひらに光がないことに気付いていないようだった。
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