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……しかし、まだ一分ではない筈だが、やはり精神状態に影響しているということなのか?
だとしたら心を落ち着けなければいけないが、奴の気味悪い視線が緊張を煽る。
「心当たりはありませんかぁ? 一度死んで蘇ったとか、予知夢を神の啓示とか言った人をぉ?」
……無い訳じゃないが、というか約二千年前ならモロだが、でも確かに日本でも有名な卑弥呼とかは紀元後に産まれた。
信じられる筈もないが、こいつらの話が全くのデマだと断ずることができない。
現にこいつらには地球人に対する強制力があり、そして僕自身が予知夢を見てしまっている。
偶然だと言うには、あまりにも鮮明な夢を。
「あれぇ? どうされましたぁ? 腰が引けてますよぉ?」
――ッ!
いつの間にこんなに距離が空いてしまっていた?
この数十秒の間に、僕は一体何度恐怖に負けて、それで何歩下がってしまっていた?
「情けないですねぇ。保険がないだけでこの有様ですかぁ?」
「う、うるさいッ」
そうやって強がるけども、図星だった。
だって僕は弱い。戦う力なんてまるでない。
ちょっとした能力を手に入れて調子に乗っていただけに過ぎない。それが使えない現状で、未知との対面は僕には耐えきれない。
……だけど、ここで折れてしまったらどうなる? 少しでも情報を聞き出さずしてどうする?
弱いけれど、不甲斐ないけれど。
だけどそれでも、僕にできることはあるって思いたいから。
――また手のひらが光りだした。
「おやおや。またすぐ消えてしまう希望の光で何をするつもりですぅ?」
気持ちの悪い喋り方に拍車が掛かった、奴の煽りが耳に纏わりつく。
……でも、耳を塞がれている訳ではあるまい。
「お前たちの目的は何だ、『答えろ』」
「あなた方裏切り者の血族の抹殺です」
よく言う。来もしなければ気付きもしなかったのに。わざわざ来てかき回すだけの理由がある筈だ。
「その裏に何がある? 『答えろ』ッ!」
「…………」
「答えないということは、王に関連しているんだな?」
「…………」
図星か。
……これ以上聞けることもなさそうだ。
というか、本当に急がないと間に合わないかもしれない。
「最後に命令だ。僕がターゲットであることを、『忘れろ』」
「……ッ」
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