第三話 避けられぬ運命

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「――うわァァッ!」    目が覚めた。  地面の冷たさと、自身の状況に対する困惑とが重なって、さっきの夢で見た悲劇が僕の中で増長する。   「嘘だ、こんなの起きる訳が……」    信じられないとばかりに懊悩する。こればっかりは本当にあって欲しくないと懇願する。   「とにかく、急がないとッ!」    未だふらつく足で学校の方向へと……    ……学校はどっちだ ?   「ここはどこだ? 僕はどんなルートを通ってここまで来た?」    袋小路とは言っても途中で分岐はあったし、大通りに出たとして、闇雲に逃げてきたために現在地が分からない。  学校がどの方向にあるのかさえ、全く分からないのだ。   「迷ってる暇なんか……ッ」    急ぎたい。あの夢の通りに、いやあれ以上に急がなければならない。  絶対にスドウを死なせてはならない。あの夢の通りにしてはならない。   「なにか、何か。現在地を知り、走るより早いものはないか?」    一分どころか一秒も惜しい。手段なんて選んでられないのは現実も一緒だ。  変えられない未来はないはず。じゃないと見る意味がない。   「早く、はやくッ!」    無我夢中で辺りを見回す。一心不乱に糸口を探す。  ……そしたら、未だ律儀に敬礼を続けている化物の姿が目に入った。   「そうだ。こいつを使えば……」    無駄にでかいこいつなら、僕を捕まえようとした時のあの速度を出せるこいつなら、間に合うかもしれない。   「どうせ他に手段はない、一か八かだッ!」    僕はあの化物の下へと走り出した。
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