第一話 前哨的絶望

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 リビングに辿り着いた頃には元気と言っても差し支えないくらいには回復していて、誰もいないダイニングキッチンの机にいつも通りに座ることができた。 「良かった。大丈夫そうだ」  机の中央にある、昨日から用意してあった朝ごはんを手繰り寄せながら、そう呟いた。  その後、背後の棚から箸を取り出して、「いただきます」と言ってから冷たい味噌汁と白米に手を付ける。  けれど、途中でやっぱり飽きが来たので、机のちょうど反対側にあるふりかけに手を伸ばす。 「もう……ちょっと」  なんてことをしていたら、味噌汁に肘が当たってあわや大惨事になるところだった。  咄嗟に止められたとはいえ、横着はするものではないということなのだろう。 「……しょうがないか」  一度立ち上がってふりかけを取りに行き、そしてそれを白米にふりかける。  そのステップを踏む中で何度無茶をしたくなったか分からないが、流石に溢して拭くとなれば面倒臭いどころの話ではないので我慢しよう。 「じゃあ改めて、いただきます」  そう言って口に運んだふりかけご飯は、色とりどりのアクセントでは誤魔化しきれないほどに冷たさが印象深かった。  ――皿洗いを簡易的に済ませたあと、一度壁に掛けられている時計の方を見る。 「まだ六時半か……」  普段なら七時ぐらいで焦っている時間だが、今日に限って言えば余裕すらあった。  あの夢にも良いところがあったのかと感心しつつ、リビングの机の上で充電を終えているであろうスマホを取りに行く。  そして指紋でロックを解除して、何となくニュースを流し見する。 「……本当に、こういう人らは出る杭を叩かなきゃ気がすまないのかな」  一つの不祥事を皮切りに、今まで見過ごされていたであろう事件がどんどん報道されるのは見ていて気持ちが悪い。  まるでここの闇を受け手が求めていると勝手に決めつけられている気がして、本当に知りたいことが分からなくなってしまう。  ……でもまあ、それが必然的なのも事実。  スポットライトを当てられて、影の犯罪が明るみになったというところだろうか。  ――なんてことを考えながらスクロールしていると、ある見出しが目に止まった。 「これは……」
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