第一話 前哨的絶望

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『UFOか?』と合成感の溢れる写真の隣で主張する文字を冷めた目で見ていると、何となく今朝の夢の一端がフラッシュバックする。 「まさか、いやでも……」  これだけ小さいと判断し辛いが、今朝見た夢に出てきたUFOもちょうどこんな造形だった気がする。  まあ、遠近感を考慮してもこの写真とは大きさが全然違うし、こういうのは大体がフェイクだと相場が決まっているので過剰に気にしないようにするとしよう。  ――なんてことをしていたら、そろそろ出なければいけない時間も迫っていたので行動を始める。  まずは教科書類の入ったリュックを背負って、そして歯磨きをして玄関へと向かう。 「えっと、今日は雨は振らないよな」  最後にアプリで天気予報を確認して、降水確率十%の表記を頼りに雨具を持たずに外へ出る。 「確かに、これは降らなそうだ」  見渡す限りの一面の青空に謎の充足感を得ながら、僕は学校への道を歩みだした。  ――数十分ほど住宅地を歩いてきて、やっと校舎が見える辺りまで来たところ。  ここまで来ると登校する生徒もちらほら現れだして、登校ぼっちの自分が際立っている現実が訪れる。  周りにはカップルなんかも居たりして、怨嗟の目を向けたい気持ちをぐっと堪えることが日課だ。  ……でもまあ、この場所で最も苦痛なのはそんなことじゃなくて。  どこからか聞こえるクスクスという笑い声を無視することこそが一番の難題なのだ。  実際にしているかは分からない。ただの被害妄想かもしれない。  でも確かにその笑い声は僕に向けられていて、まるで取り囲むように僕を追い詰める。 「ああもう、これだからコミュ障は」    自虐くらいどうってことはないが、周りに奇異の目で見られているとなると流石にへこむのだ。  それでも誤解を解くための積極性を出せないのが、負のスパイラルから抜け出せない理由だけども。  ――まあ何とか耐え切って、自分の教室に着いた訳なのだが、やはり視線には冷たさが含まれている。 「よっ、エイリ!」 「おはようスドウ」  まあそれでも『含まれている』だけであって、こうして好意的に接してくれるやつもいる。  彼の場合は特殊と言えば特殊なのだが。
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