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第三話 避けられぬ運命
僕は急いでいた。彼を助けるために急いでいた。
間に合うかどうかの瀬戸際。一分も惜しいが故に、どんな手段でも使って急いでいた。
そうして高校に辿り着いた時、なにやら騒がしい場所を見てみると――
――そこにはヒーローがいた。
犠牲になりかけた少年を救ったヒーローがいた。
あのシビキらしき男に切り捨てられようとした少年を、突き飛ばして身代わりになったヒーローがいた。
その憧れなり得る存在へと僕は駆け寄って、流れ出る英雄の証を見て絶叫する。
だけど彼はすごく幸せそうに笑っていて、僕に全てを託すと宣言した。
涙に次ぐ涙、悲哀に次ぐ悲哀に看取られながら、彼は静かに息絶えた。
……ヒーローは死んだのだ。
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