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狐面の一座が足利義昭に向かって殺到する。直隆は義昭の前に立った。
狐面の一座が肉薄する。直隆は太郎太刀を横に、一閃させ、狐面を3人斬り飛ばした。狐面集団の右側に、次郎太刀を抜いた直澄が突っ込んだ。
場に、動揺が走る。
「出合えい。狼藉者じゃ」
義景が叫んでいる。
隆元も狐面と斬り結び始めた。
狐面が3人、直隆に襲いかかってきた。
二人は簡単に倒せた。3人目は少し腕に覚えがあるようで、5合交わし、間合いをとった。両側から違う狐面が迫る。左からきた狐面を直隆は頭蓋から斬り降ろした。
右から来ていた狐面は走ってきた隆元が倒した。
腕の立つ狐面が正面から突っ込んできた。
馳せ違った。直隆の背後で、胸から血を噴いた狐面が倒れた。
一乗谷城の番兵が集まってきた頃、残り二人になっていた狐面は駆け去った。
返り血で顔を真っ赤に染めた直澄と隆元が直隆の両側に並ぶ。太郎太刀の剣先からは血が滴り落ちていた。
直隆は太郎太刀の血を払い、振り返った。膳の下に頭を隠し、亀のようになっている足利義昭が視界に映った。
「何者であったのだろうか」
義景が傍に来、地面に無数に転がる狐面の屍体を見ながら言った。
「そんな事、考えるまでもないでしょうに」
直隆は言った。
「今、足利義昭殿に刺客を差し向けてくる者など、この日本に1人しかおりますまい。あやつらは、松永久秀の手の者ですよ」
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