婆ちゃんのラムネ

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高校生   え? この瓶にですか? お婆さん   そうそう。それは特別な瓶でな、婆ちゃんの魔法のラムネなんだよ。 ●高校生はラムネを飲み干す。 高校生   魔法、ですか。 お婆さん   はっはっは、魔法だなんて、ちと子供っぽすぎたか。 高校生   やってみます。 ●高校生は外に向かう。そのとき傘をさした大人が玄関前に立っていた。 高校生   あっ。 ●大人入り。高校生、ラムネを外に置く。 大人   やぁ、婆ちゃん。久しぶりだけど覚えてる? お婆さん   覚えとるよぉ。 大人   ほんとー? おれもう四二歳だよ? あれから三十年位経ってるのに。 お婆さん   お前さんも覚えとるから、ここに来たんだろう? 大人   あはは、婆ちゃん変わんないね。三十年前も婆ちゃんだったよ? お婆さん   婆ちゃんを舐めるでない舐めるでない。 大人   こりゃまだまだ生き続けそうだっ。 お婆さん   お前さん、三十年前も同じこと言っとったわ。 大人   すげぇ、ちゃんと覚えてる! お婆さん   だから言ったろうに。で、どうしたんだい? 急に。 大人   うん。家片付けててさ、そしたらこれ出てきて。 ●大人は鞄からラムネの瓶を出す。 お婆さん   ラムネの瓶か。 大人   うん、これ見つけたら婆ちゃんどうしてるかなって思ったんだ。 お婆さん   どうだい、婆ちゃんの魔法は効いたかい。 大人   魔法かぁ、懐かしいね。うん、大分効いてる。子供の頃はただ婆ちゃんすげぇ! ってなってたけどさ、年取ったら色々忘れてた。 お婆さん   そうかい、良かった良かった。 大人   この瓶ずっと返してなかったし、返したほうがいいのかな。 お婆さん   私ぁいらないよぉ。 大人   じゃ、貰っていい? お婆さん   好きにせぇ。元々あげたもんだ。 大人   あはは、ありがとう婆ちゃん。久しぶりに会えたし、良かったよ。元気そうで。 お婆さん   そうかいそうかい。婆ちゃんも嬉しかったよ、わざわざ会いに来てくれて。 大人   じゃ、俺明日も仕事あるから帰らなきゃ。実は今も仕事の途中なんだ。ははは。 お婆さん   サボりぐせは治ってないねぇ。 大人   あはは、そんなことは覚えてなくていいって~。 お婆さん   元気でなぁ。 大人   うん。婆ちゃんも。じゃあ、またね。 お婆さん   気ぃつけてなぁ。 ●大人ハケ 高校生   お婆さん、すごいですね。
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